作家紹介

さこうゆうこ / Yuko Sako







水耕栽培。
懐かしい響き、感じませんか。

小学校の理科の時間、校舎の窓辺に並べたヒヤシンスの記憶。
動き出すかのような根の不思議、蕾が満ちたときの幸福な匂い。







ヒヤシンス、ムスカリ、スイセン。
水耕栽培の愉しみと再会しました。
フォルムの美しい吹きガラスのポットとの出会いから。
作り手は、さこうゆうこさん。
岐阜県の山あいに「日々ガラス製作所」という工房を築いて、
ひとりで日々、透明のガラスを吹いています。















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ガラスは窯の坩堝(るつぼ)の中でドロドロに溶けた素材を、
吹き棹を使ってかたちにしていきます。
ちょうど水飴のような流動体で、棹を回転させ続けて形を留めます。

息を吹き込み、形を整え、冷えだしたガラスを再び窯に戻して熱する。
その繰り返しの中で、さこうゆうこさんならではの
滑らかなフォルムの水耕栽培ポットが生まれていきます。













ガラス工芸にも、たくさんの加飾表現がありますが、
さこうさんは透明ガラスに絞って制作しています。
それは作者自身が、ツルンとした透明ガラスの表情が好きだから。
そして、そっけないほどにシンプルなガラスの
向こうに見る景色が好きだからです。

その想いを抱きながら作り続けてきたガラスには、
制作を重ねるごとにフォルムの豊かさ、ゆるぎなさが増してきました。
ガラスの素材を巡って、
空気と熱と重力がさこうさんという作り手と曲を奏でます。
まるで楽器をつくるかのようなさこうさんのガラス作り。
だからこそ、その作品には、
自然の気息と結ばれた滑らかなフォルムが与えられていくのでしょうか。



















少しずつ形を増やしてきた水耕栽培ポット。
球形、雫(しずく)形、三角フラスコ形、
ボトル形、蕪(かぶら)形。

技術のある作り手として、ほぼ同じ形態を作ることは可能なのですが、
さこうさんは同じ寸法やかたちに固執していません。
一点一点制作しながら、その一瞬一瞬の必然を美しく形に留めようとしています。
こうして生み出されたひとつひとつの水耕栽培ポットは、
どれひとつとして同じ姿ではないけれど、
どれひとつとして違和のない姿をしています。
ちょうど自然の植物、動物、そして私たちの姿のように。







心地よく整えられた山間にある家と工房。
ここから生まれるガラスの作品は水耕栽培ポットのほかにも、
すっきりと飲み口爽やかなコップ、
注ぎ口の切れも心地よいカラフェ、
涼やかな盛り付けを楽しめるオーバルプレートなどもあります。
さこうゆうこさんの透明で心地よいフォルムの食の器、花の器、
日々の暮らしにおすすめします。







○さこうゆうこさんは、水耕栽培ポットの制作者でもあり、
熱烈な!水耕栽培愛好者でもあります。

○11月中旬から1月初旬が仕込みのおすすめ期間です。
球根の底に軽く水が触れるように水を張ります。
根がしっかり伸びるまで、なるべく寒くて暗い場所に置きましょう。
黒や濃紺の布などで球根より下の部分を覆う方法もあります。
意味としては、球根にしっかり冬を感じてもらうこと。
冬は寒くて暗いので、その経験がじっくり茎、葉、花を育んでくれます。

○しっかり根が伸びたら、光のある空間に移してみましょう。
その際、水が温くなりすぎると雑菌が繁殖しますので、
適度なあたたかさを探してみましょう。

○水の交換はあまり神経質にならずに。
諸説ありますが、
状態によってはほとんど換えずに開花を迎える場合もあります。
但し、球根底部が水に浸らないように。
そして、水に濁りを感じたら交換しましょう。

text,photo : Sanae Inagaki


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